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| 其の七 |
| にぎり |
今回も某メンバー様に投稿して頂きました。
にぎりと言っても江戸前寿司の話でないことは言うまでもない。「ぎ」にアクセントのある、いわゆるゴルフ賭博のことである。我々のレベルではせいぜい小遣いを取り合う程度のもので賭博などと言うにははばかられるが、これも毎週のこととなると馬鹿にできない額となる。
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調子が悪い時などは、まず財布の中身を気にしてからコースに向かうことになる。それならばにぎらなければ良さそうなものだが、付き合い上そういう訳にもいかないし、「素」でするゴルフほどつまらないものはない。かくして皆、負けないようにと練習場に通うのである。そうまでしても止められないのが博打であり、博打好きはまた人間の性とも言えよう。
ゴルフ場に着いてスタートするまでの間、色々することがある。トイレに行くもの、コーヒーを飲むもの、アプローチやパターの練習をするもの、それぞれ皆自分のパターンを持って行動しているが、誰もが必ずすることがある。にぎりの交渉だ。
個人戦、タッグ戦、ラスベガス等に関して、ルールやレート、ハンディを決める訳であるが、この交渉において自分が勝てそうな相手を引き込む時には必ず「泣き」が入る。「今週は風邪で寝込んでいて。」とか「昨夜飲みに行って二日酔いでフラフラだ。」と餌をまき、交渉が成立するとゴホゴホと大仰に咳き込みながら「今日は払わせてもらうよ。」などと言ってナイスショットをかっ飛ばして行くのである。なにやら詐欺紛いのようであるが、まともに騙されるやつなんか一人もいないのだ。受けたほうも内心しめしめと思っているに違いないのだから。
にぎりの種類にもよって異なるが、後半勝負のものも多い。競技の成績だけなら、前半で叩いてしまったら入賞の可能性が消え、楽しみもなくなるが、にぎりをやっていると線が入ったと逆に喜ぶ人もいるくらいで、最後まで楽しめるのである。その代わり上がり3ホールはプレッシャーがかかってくる。ここで叩いてしまったらまず負けを覚悟しなければならない。ボギー、ダボ、ダボなんぞ叩いた日には風呂から上がってそのままこっそり帰りたい心境になる。
ゴルフが終わったら食堂でビールなどを飲みながらの清算が始まり、二日酔いでゴルフどころではないと言っていた人が、ニコニコと集金に回り美味しそうにビールを空けていたりする。あちこちのテーブルで何トン勝っただの何カン負けただのと、お金のやり取りが行われている様子は決して誉められたものではないが、まあここではこれ以上のコメントは差し控えておく。
話は飛ぶが、誰がいい始めたのか知らないけれど、お金の単位を1万円を1トン、千円を1カンと呼んでいる。ゴルフ場では直接的な表現でなく良いかもしれないが、ついついこの呼び方が癖になってしまい日常でも使ってしまうことがある。「今度のお祝いいくらにする。」と聞かれ「3トンでいいんじゃないか。」と答えると、「その言い方はやめて。」と家内にいつも怒られるのである。家庭内ならまだしも、仕事上で出ないか心配だ。
ゴルフ本来のプレーよりも「にぎり」がメインになってしまわぬよう歯止めを掛けながら適度なベットで楽しむゴルフが最高に面白い。それで勝てればなお良い。買った金で一杯飲みながら美味しいにぎり寿司でもつまみたいものである。