其の二
携帯電話

 今度は従業員Bの話です。
昨今の携帯電話は防水になったものも出回っていますが、ちょっと前までは水は天敵でした。ある日の朝、Bの妻から会社に「洗濯機がガラガラいうんで見てみたらあんたの携帯電話やったわ。洗濯してもた」との連絡が。「何てよー」と動揺を隠せぬB。休み明けのBはズボンのポケットに入れたまま忘れてきたのを妻が洗濯してしまったのです。家に帰り恐る恐る開いてみると、案の定、画面が消えているではありませんか。「あちゃー、なんちゅうこっちゃ。洗濯する前にポケットの中見よよ」妻に当たるB。「何で携帯みたいな大事なもんポケットに入れたままにしとくんよ」言い返す妻。
 皆さんも経験された方がいらっしゃるかと思いますが、“携帯電話の水濡れ”これが一番困ります。ショップに駆け込んで新しいものを買っても、電源が入らないと保存していたデータが何一つコピーできないのです。また一からやり直しです。「突然電源が切れた」なんてクレームをいってもムダ。今の携帯はバッテリーのところに水に浸かったかどうか判別できるシールを貼っています。このシールが変色していると動かぬ証拠を突きつけられます。
 困ったBは分解することに。携帯電話は特殊なネジを使用しているため、普通のドライバーでは回すことができません。それを苦労しながら、やっとの思いで分解して、ティッシュで拭き、ドライヤーで乾かしてから電源を入れてみましたが、やはり入りません。仕方なく天日干しで一日様子を見ることに。
 翌日になって気合を入れながら電源を入れてみると、なんと・・・やっぱり消えたままです。いくら長押ししても、ウンともスンとも。そこでBは最後の手段として“裏ワザの奥の手”を使うことに。何を血迷ったか「電子レンジに入れて水分を飛ばしてやろう」と。期待を胸に電子レンジで待つこと約1分。無事に水分が飛ぶ・・・どころか突然火を噴き出したのです。そうです電子レンジで気をつけないといけないのが、金属によっては発火する恐れがあるのです。良く知られているのが生菓子類に入っている「酸化防止剤」です。それからきれいに装飾されたコーヒーカップも塗料に金属を使ったものがあります。
 慌てたBは早よ早よ扉を開けて火を吹き消し、取り出してみると液晶に繋がっている配線部分から出火していました。今までしてきた数々の努力が全て”ムダ骨折り損の水の泡”となったBは「これであきらめがついた」と負け惜しみを言っておりました。

 先日テレビでこんなとき携帯電話を復活させる本当の”裏ワザ”をやっていました。どうするのかというと、まず「無水エタノール」を薬局で購入します。この薬品は注射をされる前に脱脂綿につけて塗られる消毒液です。次に携帯電話をビニール袋に入れ、そのエタノールを携帯が十分浸かるように入れます。何か携帯にトドメをさすような気もしますが、4〜5分そのままにしてから取り出し2日ほど天日干しにします。すると不思議なことに電源が入るのです。でもこれは一時的なものですから電源が入っている間にすぐにショップで新しいものを買ってデータをコピーしてください。
 なぜ復活するかというと、エタノールに浸けることにより携帯内の水分がエタノールと入れ替わるらしいです。取り出した携帯の中のエタノールはアルコールですからすぐに蒸発します。よって携帯は見事に復活するのだそうです。皆さんも携帯を水にぬらしてしまったとき“ダメもと”で一度試してみてはいかがでしょうか。
 このことをBが知っていたら、あのように血迷うこともなかったのにと思うと不憫で不憫で・・・。